特許の審査開始時期を遅らせる

手元にないので確認できないのですが、11/4の日経新聞に特許の審査開始時期を遅くするかもしれないというような記事が載ったようですね。

個人的には是非この制度実現して欲しいものです。

いろいろな製品開発をしても、ものになるのはごく一握りという分野もあります。また、原理的なところの確認ができた時点から、実際に市販できる商品ができるまでかなり期間がかかることもあります。また、開発初期の段階ではまだ様々な選択肢がありますから、いろいろな方向にアイディアをふくらませて出願することもあると思います。

審査請求の期限である出願から3年までに、その出願に関する商品が世に出ているとは限りません。ものになるかならないかまだわからないまま、本当に審査請求する価値があるかどうか見極めなければなりません。

審査請求費用はかなり高額です。うまく製品化につながったときに特許権を確保しておかなければ仕方がないけど、製品化につながらなかった出願にかかった費用は無駄になってしまいます。

審査開始を遅らせることができれば、審査請求費用を半額取り戻せる期間が長くなり、無駄な費用を多少なりとも抑えることができます。

また、製品化されていない時点で権利化するのはリスクを伴います。たとえば請求項1の新規性が否定されるなどして単一性がなくなってしまった場合に、上記のように製品化できるかどうかまだ判断できない状況では、コストを考慮して分割出願をせずに下位のどれかの請求項に限定することを考えることもあります。あるいは先行技術との差別化のために構成要件を請求項に加えることもあります。なるべく権利範囲が狭くならないよう、限定する構成要件を選定することになりますが、中間対応時には必須の構成要件と思われていたものが実は必須ではなくなるということは時々あると思います。明細書に技術思想は十分に開示してあっても、結果的に無用な構成要件が請求項に記載されていたら権利範囲は狭くなってしまいます。

当初の明細書に記載された全部が権利化できなくなったとき、明細書の中のどこを生かすかを考えるときに、製品化が決まってないと苦労することになります。

三者の監視負荷、審査の迅速化など考えると難しいところもあると思いますけど…、なるべく早く実施されるとよいなあ。