中国国内の発明特許、昨年25.1%増に

中国国内の発明特許、昨年25.1%増に
http://j.people.com.cn/2008/01/30/jp20080130_83322.html

中国国家知識産権局で07年に受理した発明特許のうち、国内の出願件数は前年比25.1%増の15万3060件、全体の62.4%となり、海外の出願件数は前年比4.5%増の9万2101件、全体の37.6%にとどまった。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

同局の田力普局長は29日、全国知的財産権局局長会議で、「中国で受理した国内外の特許出願件数は07年、持続的な増加を維持している。なかでも国内の出願件数については、海外の出願件数よりも増幅が明らかに大きく、90年代初期には全体の約40%だったのが、03年には同50%にまで達し、07年には60%を上回る伸びを見せている。これは中国の自主革新能力が継続的に強化され、特許出願の質がいっそう向上したことを指すものだ」と述べた。

相変わらず中国の特許出願の件数は伸びていますね。各国が中国への出願を増やしているのでしょうけど、それ以上に中国国内の出願が増えているみたいですね。

とはいえ、「特許出願の質がいっそう向上したことを指すものだ」とはよく言った物です(苦笑)。
件数の伸びが質を必ずしも表さないとは思うんですけどね。特に中国の場合。

同じサイトで、4月にこのような記事がありました。

中国人の特許申請 オリジナル発明は少ない
http://j.peopledaily.com.cn/2007/04/23/jp20070423_70373.html

国家知識産権局の田力普・局長は4月23日午前に政府ポータルサイト「中国政府網」の取材を受け、中国人の提出した特許申請の大部分は改良発明で、オリジナルの発明が大変少ないと述べた。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
改良発明が多いのは日本も同様の側面はありますが。

でもこれで終わらないのが中国。

http://www.inpit.go.jp/jinzai/study/pdf/44_ronbun1.pdf
にある「特許研究」誌の「中国における知的財産権をめぐる動向」によると、

この問題は、中国企業による特許出願のレベルが低いということにも関連している。
(中略)
内容的には公知技術、公知意匠の修正程度の物であり、実質的な創造を含まない価値の低い物が多いという指摘がある。たとえば、実体審査を行う発明特許出願について、その特許付与率を海外からの出願と比較すればその状況は明白である(資料1)。

実際の資料1は上記pdfファイルをごらんいただくと分かるのですが、中国国内の出願は2割程度しか特許にならず、海外からの出願は4割が特許になるという状況です。
同じ文献には、

報奨金、表彰を得ることを目的とした計画経済の時代の悪しき慣習のような「水増し特許出願」、外国企業の特許出願を模倣した出願、外国で公知になった技術あるいはデザインをコピーした冒認出願等が、大量の出願中に含まれており、次の法改正において現実的な対応が必要とされている
とも書かれていました。

改良発明が多いだけではなく、さらに水増しも多いようです。件数は割り引いて考えなくてはいけないですね。それにしても、中国企業についてはかなり知的財産に関する意識は向上しつつあると言うことなんでしょうね。

ちなみに、件数だけがすべてじゃないのはどこでも同じですもんね。
日本の企業の中にも、水増しとまでは行かなくとも、出願件数のノルマが決まっていたりするために必ずしも必要でない出願を行ったりしているところはあるのではないでしょうか。質の高い出願ができているか、見直してみるのもいいかもしれませんね……。

2008/2/1 引用部の誤字を訂正