日経ビジネス Associe (アソシエ) 2008年 11/4号

定期購読で届いたので早速読みました。
手帳の特集がいい感じですね。代表的な手帳の中身を写真入りで、ポイントの説明つきで紹介してあって、近所ではあまり品揃えが多くない身にはありがたいです。
とは言ってもスケジュール管理はPC上のoutlookwindows mobile機なので、あまりまともに手帳を使ってないんですけどね。こういう特集を見ると手帳を使いこなせるようになりたいと思います。
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2008年 11/4号 [雑誌]

スーパー早期審査第一号

久々の更新となりました。
スーパー早期審査が実施されましたが、29条の2との関係が気になるところですね。





 特許庁は17日、特許の審査期間を大幅に短縮する「スーパー早期審査制度」の第一号として、慶応大が今月1日付で出願した水中の有害金属検出技術を特許に認定したと発表した。

世界最速、17日間で特許認める=早期審査の新制度で第一号−特許庁(時事通信) - Yahoo!ニュース から引用

こんな記事が出てましたね。
これは、




 特許庁は、ユーザの求めるタイミングで早期に権利化が行える審査体制の構築に向け、現行の早期審査よりも更に早期に審査を行うスーパー早期審査制度を創設し、本年10月1日から試行を開始します。

スーパー早期審査の試行開始について から引用
と出ていたものの第一号な訳ですが……

おそらく先願調査自体は手をつけてしまえばそれほど時間がかかるわけではないと思うので、先願が見つからなければ17日で特許査定も出せるとは思うのですが、気になるのは29条の2の扱いです。
特許庁に出願された分について、わずか17日の間にすべて検索可能となっているというのはすごいなあと思うのですよ。出願人がつけた特許分類だけでは不十分なので、特許庁内部できちんと分類を付与して検索できる状態にすると思うのですが、それがきちんと終わっている、ということですよね。
あと気になるのは、海外からの出願が先願になる場合の扱いです。
特許庁自身も




?優先権の主張を伴う先願等の取扱いについて
出願前1年以内に外国特許庁、政府間機関又は受理官庁に出願されている基礎出願については、後に優先権の主張を伴って日本国特許庁に出願された場合、特許法第29条の2の先願となる可能性があります。
しかし、出願公開前の審査の時点では、外国特許庁等に基礎出願がされているのみであり、日本国特許庁への出願がされていなければ、第29条の2の先願とはなり得ません。このため、他に拒絶の理由を発見しない場合は、特許査定されることとなります。

スーパー早期審査の試行開始について から引用
と書いてますが、あくまでも「この時点では特許査定せざるを得ない」というだけであって、後に日本特許庁に出願された場合には無効になる場合があり得る、ということになります。
通常の早期審査でもそういう事は起こりえたのだと思うのですが、これほど速いと……気になりますね。

逆に出願人の立場からすると、審査段階で先願を意識した十分な補正ができず、特許登録後に訂正などの限られた手段で対抗せざるを得なくなることが考えられます。早期の権利化も重要ですし、悩ましいところかもしれません。十分に検討した明細書で臨む必要がありますね。あらかじめ分割出願をしておくとかするんでしょうか。

工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第17版〕がamazonで予約受付

工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第17版〕がついに発売されたようで、発明協会のページでは買えたみたいなのですが、ようやくamazonにも登録されました。

予約受付中になってますので、早速私は予約しました。
発送可能時期が6/19となってました。

私が知財の仕事に関わる前の改正部分についてちゃんと読んでみたいと思ってます。ちょっと楽しみです。

「青本」工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 第17版が発売開始

工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第17版〕がついに発売されました。
発明協会のページでは、発売中、在庫ありになってますね。


平成14年の一部改正から平成18年の一部改正までの改正情報等をメインに、立法担当者が見直し・盛り込んでいます。
書籍詳細 から引用

平成18年改正までなんですね。当たり前ですが、平成20年改正は網羅してない……。最近は改正の頻度が高くて追いつくのが大変でしょうけれども、是非継続して改版を行っていただきたいです。(毎回は買えませんが……)、

まだamazonからは買えないみたいですね。買えるようになったらこのリンクでいいと思うんですが……

amazonで買えるようになったら私も買うつもりです。

メーカーの利益は過大ではない

いくつか記事を読んだんですが、権利者側の言い分に全く共感できないのはなぜなんでしょうか。

お金の話になってるからなのかなあ。
「あるメーカー」とか経済産業省とかを持ち出して、悪者探しをしてるからなのかなあ。

消費者の視点が感じられないからなのかなあ。



「コンテンツとハードは互恵関係にあるはずなのに、メーカーはこれだけの利益を手にしながら、権利者を一切踏みにじってきた。自分さえよければ、コンテンツはどうなってもいいのか」(椎名さん)

「ダビング10を人質になどしていない」「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」 権利者団体が会見 (2/2) - ITmedia News から引用
「分け前をよこせ」といってるだけに見えてしまうんですよね。正当な権利の主張をしているつもりなんでしょうし、事実そういう側面はあるはずなんですが……。私がメーカーに近い業界にいて、また一消費者として見ているからなんでしょうか。


権利者側が提示したデータによると、デジタル関連機器の市場規模(映像、音楽、テキスト、家庭用ゲーム関連商品を合算)は、2005年は4兆3638億円、2006年(予測値)は6兆3888億円。

「ダビング10を人質になどしていない」「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」 権利者団体が会見 (2/2) - ITmedia News から引用
デジタル機器関連の市場規模っていっても、算出根拠がちょっと調べられなかったんですが、国内市場で、消費者が購入する金額ベースだと仮定します(国民一人あたり5〜6万円/年奈良そんな物かな、と思えますので)。
2007年の数値が2006年より大きくなってることを考え、仮に7兆円だとして、小売店仕入れ原価を考えると、メーカーの売り上げ金額としては8割ぐらいになるのかなあと。メーカーの粗利率が仮に3割だとしても、デジタル機器関連でメーカーが得ている粗利って2兆円にはならないのでは。利益で計算すると、仮に利益率10%だとしても6000億円程度にしかならないと思われます。

一方、



コンテンツの種類別の内訳は、映像が7,112億円(前年比2.4%増)、音楽が7,828億円(0.5%減)、ゲームが6,134億円(23.9%増)、図書、画像・テキストが6,626億円(13.8%増)。ゲームコンテンツはニンテンドーDSの好調や次世代ゲーム機の発売などで市場規模を拡大する一方、音楽コンテンツはパッケージソフトの売上減が響き前年比で減少となった。


流通メディア別の分類では、パッケージ流通が1兆8,690億円(前年比3.7%増)、インターネット流通が4,617億円(28.8%増)、携帯電話流通が4,392億円(10.7%増)となり、インターネットや携帯電話によるコンテンツ流通の拡大が目立つ。

ネット流通のコンテンツが市場を拡大、デジタルコンテンツ白書2007 から引用
それに比べると、コンテンツの粗利はもう少し大きいでしょう。特にインターネット流通、携帯電話流通では流通コストが抑えられる分かなり高い利益率が見込めるのかな、って考えると……メーカーの方が多少多いかもしれませんが、少なくとも過大な利益を得ているとは思えないんですよね。

互恵関係というよりは依存に近いんじゃないでしょうか。
メーカーはデジタル映像/音楽機器がなくとも(苦しいけど)やっていけます。
消費者は、映像、音楽がなくとも(ちょっとさびしいけど)やっていけます。
でも、音楽・映像の権利者は(直接の演奏・上映以外では)、メーカーが作った製品が消費者に行き渡って始めて利益を得ることができるんですよね。

いっそメーカーが依存を断ち切ってみるのも手かもしれませんね。

ダビング10を人質になどしていない」「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」 権利者団体が会見
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/29/news114.html

「消費者のみが負担」を消費者は本当に望んでいるのか,補償金制度とコピーワンス問題で権利者会議が会見
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080529/305212/

ダビング10を人質にしてはいない」。権利者団体会見
−「“あるメーカー”と経産省が、ちゃぶ台返し
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080529/cf.htm

公正な利用

フェアユース規定が盛り込まれるかも、というニュアンスともとれる記事がasahi.comに掲載されていました。


日本の著作権法は、他人の著作物を勝手に複製したり、ネット配信したりすることを原則として禁止している。その上で、例外として「家庭内での私的な複製はできる」「学校の授業のためにはコピーできる」など著作権が及ばない範囲を個別の規定で列挙し、著作物の利用形態ごとにユーザー側の自由を認めている。

創設が検討されているのはこうした個別規定と別に、公正な利用をその形態にかかわらず広く認める規定だ。

asahi.com:著作物利用拡大へ法改正 ネット配信向け政府方針 - 文化・芸能 から引用
こういう規定ができて、ある範囲内では原則自由に利用できるようになるといいですね。

著作権法の第一条にある、


第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法 から引用
の中で今ひとつ「留意」されていなかったとも言える「公正な利用」が、利用者が使いやすい形で保証されるようになるといいですね。
今後の検討に期待したいです。

文化の発展

日本において、著作権の保護が機能していた分野よりも、必ずしも十分に機能していなかった分野の方から国際的に高い評価を得るものが生まれているように思えるのは皮肉なことだと思います。

著作権法の目的はこうなっています。


第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法 から引用

権利者が権利ばかりを主張し、公正な利用をしたいと思う消費者の視点からずれてしまうと、文化の発展にはつながらないのではないでしょうか。ひいては、自分たちの首を絞めることにつながってはしまわないでしょうか。

そんなことを、


様々な利害関係者の思惑が交錯し、事態は「複雑骨折」の様相を呈している。
ダビング10「複雑骨折」・経産省は何をしているのか インターネット-最新ニュース:IT-PLUS から引用
権利者側の立場の人間が、権利者側には一切非がないかのように書かれたこの記事を読んでふと思いました。